ASEAN RYOKO (No.31) タイの中国接近、日本離れ?
タイは5月のクーデター後、軍事政権(国家平和秩序評議会)が国の実権を握っています。
最近はタイの政情も安定してきたのか、メディアの報道も目新しいものはなかったものの、8月9日付の新聞(読売)で、ミヤンマーの首都ネピドーで開催されていたASEAN外相会議でのタイのシハサーク外務次官の発言が掲載されていました。
「中国の提案を歓迎する。タイは創設メンバーとして参加したい」と。
何のことかと言えば、中国が道路や橋などの社会インフラ整備に融資を行う「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」構想を発表し、ASEAN各国に参加を呼びかけたのです。
日米が最大の出資国で、既に存在する「アジア開発銀行(ADB)」に対抗する狙いです。
その背景には、南シナ海領有権問題を巡って中国と対立するフィリピンやベトナムの中国批判を分断しようとしているのは明らかです。
「親中派」の国に対し、「会議場でも橋でも、望むものは何でも与える」といった、金で解決させるという中国の姿勢はいかがなものかと思います。(ちょっと前まで先進国の援助を受けてたのに)
タイのシハサーク外務次官は岸田外相に「クーデター後の民政移行への取り組みに理解を求めた」と言うが、岸田氏の態度は硬かった様子です。日本の閣僚は最近も頻繁に東南アジアを訪問しますが、タイは素通りが続いています。
現在、海外からの投資額の50%以上を日本が占めているだけに、そう簡単にタイとの関係が崩れるとは思えませんが、日米欧がタイの軍政批判をこのまま続ければ、その隙に中国がタイをうまく取り込むことも懸念されます。
気のせいか、最近中国企業のタイ進出も目立っています。
写真はイースタンシーボードに建設中の巨大なタイヤ工場。中国企業だと聞いています。
また、中国上海汽車がタイ巨大資本のCPグループと合弁で自動車工場を立ち上げています。
もともとタイは中国系(華人)が政治・経済を牛耳っている国。
うかうかしていると、近い将来タイは中国に飲み込まれてしまうかも知れませんね。
日本人村のシーラチャーも、いつかは中華街になっていたりして・・・・?
そうならないことを祈ります。
2014年8月18日(月) 長井