業界のハナシ 第8回 溶接ティーのシーニング加工
溶接ティーとは
溶接ティーとは、配管を分岐する際に使用する継手です。本管(母管)と分岐管(枝管)のサイズが同じものを「同径ティー」と言い、サイズが異なるものを「異径ティー」と言います。異径の場合は分岐管のサイズが小さくなります。分岐管のサイズが本管よりも大きい継手はありません。ティーは英語表記でTEEとなります。日本ではティーをチーズとも言います。
●配管設計
同じ圧力で流体を供給する場合、口径が小さくなると管に掛かる圧力は大きくなります。例えば100Aの管にスケジュール40相当の圧力を掛け、口径を50Aに絞ると50Aの管に掛かる圧力はスケジュール40よりも大きな圧力となります。その場合、1ランク上のスケジュール80の管で設計します。
●スケジュール違いの管の接続
スケジュール違いの管を接続する場合でも、既製品のティーはスケジュール40や80といった単一のスケジュールのものしかありません。耐圧を確保するためにティーは接続する管の耐圧の大きいほうを採用する場合が多いです。
問題点と現状把握
問題点とシーニングについてご説明します。
●問題点
たとえば、100Aスケジュール40の管と50Aスケジュール80の管を接続する際にスケジュール80のティーを使用すると、80Aの管と継手の接続部の開先先端部がズレてしまいます。突合せ部を密着させて溶接すれば、スケジュール80相当の圧力では流体漏れが発生する心配はあまりないと思います。ただし、内径に段差が生じてしまうのでスムーズに流体が流れなくなり渦巻きが発生して、管の内壁を傷つけるキャビテーションという現象が起きる事があります。また開先先端部が合わないため、裏波溶接は出来ません。内径を削って開先先端を揃える必要があります。内径を削って開先先端を揃える事をシーニング加工と言います。
●シンニングとシーニング
以前、レジューサのご紹介の時に書きましたがおさらいのためもう一度書きます。
シーニングをシンニングと呼ぶ場合がありますが、どちらが正しいのか疑問に思っていました。英語でThinning(シンニング)は細線化となりますがシーニングに当てはまる英語を見つけられませんでした。しかし韓国の継手メーカーではシーニングと言っていました。シンガポールのストッキストはテーパーダウン(Taper down)と言っていたし・・・
インターネットで調べ続けて数か月、やっと答えらしきものが見つかりましたので発表します。
答えは、原子力規格委員会の、「第17回 供用期間中検査検討会 議事録」の中にありました。議事録2ページ、(5)-1)-b に、「シンニング」と「シーニング」という言葉はどう使い分けしているのか。
⇒PWR で従来から慣用的にシンニングを使用しているが、シーニングで統一する。(http://nusc.jp/giji/kouzou/UT17.pdf)
国内ではシーニングを使えば間違いないですね。
●現状把握
- メーカー手配:メーカーへシーニング加工品を依頼すると早くても1か月以上納期が掛かります。
- 施工工場対応:納期が間に合わない場合は、施工工場で内径を削って開先先端を整えて使います。ただし溶接検査が必要な工事では開先が公差に収まらず不合格になる場合もあります。
菱光産業ができるご提案内容
そんなシーニング加工の悩みを当社が解決いたします。
当社ではシーニング加工に多数の実績を持つ工場と提携して、指定公差のものを短納期でご提供いたします。
●特長
- 専用治具で芯Rと旋盤の中心軸を揃えますので芯ズレを防ぐ事が出来ます。
- 切削の際にティーの内径に球状治具を挿入して真円度を確保します。
●納期
納期は1週間から10日といったところです。超特急もご相談に応じます。
●ロット
1個から加工いたします。材料支給でも加工可能です。
●価格
80A X 50Aのスケジュール80のティーで、80A側をスケジュール40加工した場合の加工費は約2500円(送料別途)です。明細を頂いてから見積りいたします。見積無料ですのでまずはご相談ください。
事例紹介
自社製品を海外へ輸出されるお客様から、ASME規格のレジューサをシーニング加工する依頼があります。JIS以外のレジューサの加工も可能です。また、ASME規格のステンレス溶接継手は当社で在庫していますので材料込みで短納期対応が可能です。
お問い合わせはこちらより
溶接ティーのシーニング加工についてのご質問・ご相談は下記よりお気軽にご連絡ください。
お問い合わせフォームはこちら
電話:菱光産業 営業開発部 082-942-1510
FAX :菱光産業 営業開発部 082-942-1511
関連リンク
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