ものづくりQ&A <38> 「熱処理とは?その6」
ものづくりQ&A
前回に続き作業別による熱処理とはどのようなものがあるのか、またその特徴をご紹介致します。
①オーステンパ
特徴:焼入れの際、ベイナイトが生成する温度に保たれた熱浴に焼入れし、等温変態をさせたのち引上げて空冷する操作でS曲線のノーズ近傍では上部ベイナイトが、また、Ms点近傍では下部ベイナイトが得られます。
②応力除去焼きなまし
特徴:鍛造や機械加工品、溶接、鋳造部材などは、様々な加工の際に、表面に残留応力が発生しますが、この残留応力を除去する目的で行う処理を、応力除去焼なましと言いいます。
③加工熱処理
特徴:従来の熱処理は温度と時間のファクタでしかありませんでしたが、加工熱処理は冷却の段階で、塑性変形を与えるもので、転位密度が高くなり、強度向上に役立ちます。
④熱浴熱処理
特徴:焼入れ冷却剤に、塩浴や金属浴を用いるもので、均一に冷却されるため、焼割れや焼入変形が少ないのが特徴です。浴には中性塩やPbなどが用いられます。
⑤水蒸気処理
特徴:鋼材表面を500~600℃に加熱した水蒸気を吹き付け、黒色のFe3O4の酸化被膜を形成させる処理で、一種の防錆処理として施工されます。
長らく「ものづくりQ&A」をご愛読頂き有難うございました。
次回より新たに「日本のものづくり会社紹介」(仮)と題して投稿することになりましたので引き続き宜しくお願い申し上げます。